【初心者向け】プロのめっき屋が解説!電気めっき記号の正しい読み方と表記方法

😞「めっきを発注するときの記号の書き方が、いまいち分からない……」
👩「素材と処理の欄にある、意味不明な英語の羅列ってどう読んだらいいかしら……」
電気めっきの記号や記法は、特に初心者の方にとっては複雑で、まるで暗号のように感じられるかもしれません。
この分かりにくさが、思わぬ発注ミスや意図しない加工結果を招くこともあります。
この記事では、初心者の方にも分かりやすく、電気めっき記号の正しい読み方と、誤解なく伝えるための表記方法を基本から丁寧に解説していきます。
電気めっきに関する基本的な規格と実務での位置付け
電気めっき記号の日本国内での規格として「JIS H 0404」や「JIS H 8641」などがあります。JISは、日本の産業製品やサービスに関する規格や測定法などを定めた国家規格で、めっきの品質や記号表示に関する取り決めを統一してまとめています。
数字が大きい方が新しいバージョンになります。JISはバージョンが異なっても記号の書き方が極端に変わることはありませんので、ご安心ください。
JIS規格以外にも、ISO(国際標準化機構)や世界各国ごとにめっき記号の書き方があります。またトヨタ自動車などの大きなグループでは社内専用の記号もあります。国や会社により規格に違いがあることを理解しておくと、部品の調達の際にもスムーズに話が進むでしょう。
実務上のポイント!
- 電気めっきに必要な一般的事項を定めており、記号の読み方や表示方法も含まれます。
- 実際の発注や仕様書作成時の「共通言語」として活用できます。
- 社内標準がある場合、規格をベースに社内用の略記号やルールを追加していることもあります。自社の仕様書とJISなどの公的規格に相違がないか、必ず確認しましょう。
規格に準拠していないと、海外の取引先や新規の仕入れ先とスムーズに意思疎通ができない場合もあるため、注意が必要です。
電気めっき記号を使う理由
めっき記号を使わずに、例えば「鉄の素地上にニッケルめっきを10μmとクロムめっきを0.1μm施し、その後、熱
処理をして……」などと、部品ごとに詳細を文章で記述していては、手間がかかり仕事の効率も上がりません。
それならば、めっき記号で統一した規格を皆で使った方が便利で迅速です。記号を使うことにより、自然言語の曖昧さをなくし、正確な仕様が伝わります。
素材、めっきの種類、厚さ、後処理といった詳細情報を、JIS等の規格に基づき厳密かつ簡潔に指定できます。これにより、図面への記載が容易になり、関係者間の解釈のずれや発注ミスを防ぐ共通言語として機能します。
記号を使う目的は大きく3つ
- 発注仕様を正確に伝える共通言語としての役割
- 「素材・めっきの種類・厚さ・仕上げ・使用環境」を一目で示せる利便性
- 規格に準拠しやすく、サプライヤーとのやり取りをスムーズにする効果
発注者・受注者双方が、製品にどのようなめっきを施し、どのような環境(屋外、屋内、高温多湿など)で使用されるかを事前に把握することで、後工程でのトラブルを減らすことができます。
そのため、記号の全てを丸暗記するよりも、何を表すか(素材か、めっきの種類か、厚さか)という「構造」を理解することが長期的に役立ちます。
電気めっき記号を構成する5つの要素
こではさらに一歩踏み込んで、記号の構文と構造について解説します。
めっき記号は、基本的に以下の5種類の情報を下記の順番で記述します。
要素 | 記号例 | 説明 |
1. めっき方法 | Ep, Elp… | 電気めっき、無電解めっきなど |
(ハイフン) | – | 区切り |
2. 素地の種類 | Fe, Cu… | めっきを施す素材 |
(スラッシュ) | / | 区切り |
3. めっきの種類と厚さ | Ni, Cr… | めっきする金属の種類と膜厚 (μm) |
(スラッシュ) | / | 区切り (後処理がある場合) |
4. 後処理の種類 | CM1, PA… | クロメート処理、塗装など |
(ハイフン) | – | 区切り (使用環境を併記する場合) |
5. 使用環境 | A, B, C, D | 部品が使用される環境 |
例: Ep-Fe/Zn13/CM1-B
この記号は、
「鉄鋼(Fe)素地上に、電気(Ep)亜鉛めっき(Zn)を13μm施し、その後、光沢クロメート処理(CM1)をします。部品は通常の屋外環境(B)での使用を想定しています」
という内容を表します。
注意点: 最初の「めっき方法(Epなど)」の記号は、素地(Feなど)よりも先に書かれますが、日本語で読む際は「素地上に、めっき方法で~」と、素地を先に説明する方が自然です。
1. めっき方法を表す記号(Ep, ELpなど)
最初にめっきの方法を表す記号を書きます。
- Ep, SPLE: 電気めっき
- Elp, SPLEL: 無電解めっき
- Ef, SEL: 電鋳
会社の取扱品目にもよりますが、実務ではEp(電気めっき)とElp(無電解めっき)をよく使います。
2. 素地記号(Fe、Cu、Al、SUSなど)
次に「-」(ハイフン)の後に、めっきを施される金属の素地(素材)を書きます。金属の種類によって特性が大きく異なるため、正確に書く必要があります。
記号 | 素材 | 特徴・注意点 |
Fe | 鉄鋼 | 様々な分野で一般的に使用。錆びやすいため保護が必須。 |
Al | アルミニウム | 軽量性、放熱性に優れる。酸化被膜除去や下地処理が重要。 |
SUS | ステンレス鋼 | 耐食性に優れる。用途次第ではめっき不要な場合もある。 |
3. めっきの種類記号(Ni、Cr、Zn、Cu、Au、Agなど)
「/」(スラッシュ)の後には、付与するめっきの種類を書きます。基本的には元素記号が使われます。全て覚えるのは大変なので、まずは自社で扱うめっきの記号から覚えるとよいでしょう。
代表的な記号をいくつか紹介します。
記号 | めっき種類 | 主な用途・特徴 | 注意点 |
Ni | ニッケルめっき | 耐食性、装飾性 | 厚みにより防食効果が大きく変わる |
Cr | クロムめっき | 耐摩耗性、装飾性 | 六価クロムなど環境規制に留意 |
Zn | 亜鉛めっき | 防錆性 | 塩害地域などでは厚みと後処理を要検討 |
Cu | 銅めっき | 下地めっき、導電性 | 下地処理の品質が最終仕上がりに影響 |
Au | 金めっき | 高い耐食性、導電性、装飾性 | 高コストだが電子部品や装飾品に最適 |
Ag | 銀めっき | 導電性、熱伝導性、装飾性 | 変色対策に防錆処理が必要な場合あり |
4. めっき厚さ(例:Ni5、Zn10など)
めっきの種類記号の後にある数字は、めっきの厚さを示す数値で、μm(マイクロメートル)単位で指定します。マイクロメートルは1mmの1/1000です。
例: Ep-Fe/Zn10
この式の「Zn10」部分は「亜鉛めっきを10μm施す」という指示を意味します。
複数種類のめっきを施す際の記号は「,」(カンマ)を使い区切って表記します。
例: Ep-PL/Cu10,Ni5,Cr0.1
この場合、プラスチック(PL)素地上に銅めっき10μmを施し、さらにその上にニッケルめっき5μm、クロムめっき0.1μmを施します。
例: Ep-PL/Cu10,Ni10,Sn-Co
この例では、銅めっき10μm、ニッケルめっき10μmの後、Sn-Co(すずとコバルトの合金めっき)を施しますが、Sn-Coには厚さの指示がありません。この場合、膜厚は仕様書などで別途指定されているか、あるいは書き忘れの可能性が考えられます。
他にも、厚さの数値がないケースとして以下のような理由が考えられます。
- 簡略化: 日常的な指示や社内でのみ通用する略称として、膜厚の数値を省略。
- 過去の慣習: 古くからの習慣で、特定のめっきに対して暗黙の了解がある。
- めっきの種類による標準膜厚: 特定のめっき種類において、社内または業界内で標準的な膜厚が確立されており、あえて記載しない。
- 等級表示: JIS規格で膜厚の等級が定められている場合、μm単位の数値ではなく等級で表示(例: Ni-Pの等級数)。
- 品質管理の簡略化: 膜厚よりも外観や機能など、他の要素を重視している。
このような事例があります。発注者側は、いつも依頼している製品だからと指示を簡略化しがちなので注意が必要です。
ややこしい記載方法の事例: Au(75)-Cu
Auは金、Cuは銅です。この記法は、金75%、銅25%の合金めっき、いわゆる18金めっき(K18)を表しています。金の後ろの()内の数字は金の含有率(パーセント)です。この場合75なので75%です。
残りの成分が1種類で、合計が100%になる場合は、残りの成分の比率の記載を省略することがあります(100-75=25%)。
金めっきでは、純金(24金、K24)に対する金の比率で品位を表すため、18金は18/24 = 0.75、つまり75%の金含有率となります。
5. めっきタイプを表す記号(b:光沢、m:無光沢など)
めっきの膜厚の数字の後にアルファベットが記載されている場合は、めっきの仕上げタイプを指定しています。めっきはタイプによって装飾性や機能性が変わります。
例: Ep-Fe/Ni10b
この式は、鉄素地上に光沢ニッケルめっきを10μm付与することを意味しています。「Ni10b」の「b」が光沢ニッケルめっきを指定しています。他にも「s」なら半光沢、「d」なら2層ニッケルめっきなどを指定する記号があります。
実務における注意点:
- 半導体や精密部品などでは、光沢仕上げよりも成膜ムラの少ない無光沢仕上げ(m)を選ぶ場合があります。
- 「指紋がつきにくい」「摩擦係数が低い」といった特性も、仕上げの選択に影響します。
- めっきタイプとしての黒色めっき(例:Ni bk)と、後処理としての黒色クロメート(例:/K)は混同しやすいですが、処理方法が根本的に異なり、付与される効果も異なります。
タイプは製品の用途に大きく関わる部分なので、しっかりと指定しましょう。どのような効果が得られるか判断に困った時は、懇意にしているめっき業者に相談してみるのも一つの手段です。
6. 後処理の種類
例: Ep-Fe/Ni10b/CM2
金属にめっきを施した後にする処理を指定します。これまでの記号との混同を避けるため、「/」(スラッシュ)で区切った後に記述します。上の式の「CM2」の部分が該当します。
PAが塗装、CM2が有色クロメートなど、めっき後に施す処理を記載します。ただし、特殊な処理や複雑な工程を必要とする場合は、別途※印などで注記し、分かりやすく示しましょう。
クロメート処理では、JISで「CM1 A」や「CM2 C」のような記法が認められています。この2つの記号は、AやCが付いていても、後処理の種類としてはそれぞれCM1(光沢クロメート)、CM2(有色クロメート)であり、AやCは外観や耐食性の等級を示す場合があります(規格による)。
クロメート皮膜は、種類や厚みが違うだけで見た目や耐食性が大きく変わってきます。当然、コストも皮膜が厚い方が高くなる傾向があります。部品の大きさや形状にもよりますが留意しておきましょう。
CとBは要注意!混同しやすいポイント!
後処理の記号として使われるアルファベット(例えばクロメートの等級を示すCなど)と、次に説明する「使用環境」を表す大文字アルファベットのC(湿度の高い屋内環境)は、記号が同じため混同しやすいです。
言葉だけではイメージしにくいため、式で表します。
- Ep-Fe/Zn15/CM2 (亜鉛めっき15μm後、有色クロメート処理)
- Elp-Fe/Ni5/:C (無電解ニッケルめっき5μm後、後処理なし、湿度の高い屋内環境で使用)
- Ep-Fe/Zn5/CM1-C (亜鉛めっき5μm後、光沢クロメート処理、湿度の高い屋内環境で使用)
「/」の後ろに「:」(コロン)がある場合は、後処理の指定がなく、続いて使用環境を表します。後処理と使用環境の両方を記載するときは「-」(ハイフン)でつないで書きます。
ちなみに、C以外にもB(例えば後処理の黒色クロメートの等級と、使用環境の通常の屋外環境)も同様の理由から注意が必要です。紛らわしい場合は、別途※印などで注記してもよいでしょう。
7. 使用環境記号
めっきされた部品が、どのような環境で利用されるかを想定して示します。使う記号はA、B、C、Dの4種類です。
記号 | 環境区分 | 具体例 | 設計上の考慮点 |
A | 腐食性の特に強い環境 | 海浜地域、工業地帯 | めっき後のシーリングや塗装も検討 |
B | 通常の屋外環境 | 一般的な住宅地・都市環境 | 雨や紫外線への対策を必要に応じて検討 |
C | 湿度の高い屋内環境 | 浴室・厨房など水や湯気が多い場所 | カビやサビの発生リスクに対処 |
D | 通常の屋内環境 | 住宅・オフィスなど | 過剰なめっきやコストにならないよう注意 |
Aは「腐食性の特に強い環境」を指定しています。海浜地域や工業地域など、特に腐食が激しい環境下での使用を想定しています。過酷な環境での使用は、設計段階では予測しきれない問題が発生する恐れがあります。そのため、めっきの厚さやシーリング処理などをサプライヤーと相談して決めると、部品使用時の信頼性が増します。
繰り返しになりますが、後処理がない場合は「:」(コロン)を挟んで使用環境記号を記載します。後処理と使用環境の両方を書く場合は「-」(ハイフン)でつないでください。
記述する際は、前項の後処理の記号との混同が注意事項になります。
ややこしいので再掲します。
- Ep-Fe/Zn5/CM2 (有色クロメート処理)
- Elp-Fe/Ni5/:C (後処理なし、湿度の高い屋内環境)
Ep-Fe/Zn5/CM2-C (有色クロメート処理、湿度の高い屋内環境)
電気めっき記号の表記例とよくある間違い
書き方の基本を理解したところで、おさらいも兼ねて記号の表記例を見ながら解説します。
■ 正しい表記例
Ep-Fe/Ni5b/:A
めっき方法:電気めっき (Ep)
素材:鉄 (Fe)
めっき種類・厚さ:ニッケル 5μm (Ni5)
めっき外観:光沢 (b)
後処理:なし (:)
使用環境:腐食の特に強い環境 (A)
意味:鉄素材に、電気ニッケルめっき5μmを光沢仕上げで施し、腐食の特に強い環境での使用を想定する。
Ep-SUS304/Cu10,Ni5b
めっき方法:電気めっき (Ep)
素材:ステンレス鋼 (SUS304)
下地めっき:銅 10μm (Cu10)
上層めっき:ニッケル 5μm (Ni5)
めっき外観:光沢 (b)
意味:ステンレス鋼(SUS304)素材に、電気めっきで銅を10μm、さらにその上にニッケルを5μmめっきし、光沢仕上げを施す。 (この例では後処理、使用環境の指定なし)
よくある誤った表記例
Elp-Ni/Fe5b/:A
誤り:めっき方法(Elp)の後に、素地(Fe)ではなくめっき種類(Ni)が来ており、順番が誤っている。「どの素材に何のめっきをかけるか」が不明瞭。
正しくは: Elp-Fe/Ni5b/:A (鉄素地に無電解ニッケルめっき5μm、光沢、後処理なし、腐食環境A)
Ep-Fe/NiAb5
誤り:めっき厚さ(5)の前に使用環境(A)や外観(b)の記号が来ており、順序が誤っている。どのようなめっきを施したいか意味が伝わりにくくなる。
正しくは: Ep-Fe/Ni5b/:A (鉄素地に電気ニッケルめっき5μm、光沢、後処理なし、腐食環境A)
実務上のポイント
図面や仕様書は、社内外の多くの人が目にするため、誰が見ても同じ解釈ができるよう、記号を正しい順序で記述することを徹底しましょう。
倒置や独自の省略表記は避けるべきです。「Fe/Ni5」のように、めっき方法や外観、使用環境記号を省略することは、特にトラブルの原因になりやすいため、必要な情報は省略せずに記載することが望ましいです。
トラブル事例から学ぶ発注ミスの防止策
以下は、実際に起こりやすいトラブル事例とその対処法です。
厚み不足により早期サビ発生
事例:亜鉛めっきをZn5/CM1(5μm)で指定したが、塩害地域での使用に耐えられずサビが発生した。
対処法:単純に厚さを増やす(例:Zn13やZn20)ことも一つの手ですが、使用環境によっては不十分な場合があります。耐食性に優れた銅下地ニッケルめっきやクロムめっきへの変更、あるいは有色クロメート処理(CM2)やシーリング処理などのトップコートを追加処理として検討する方が効果的な場合があります。
使用環境の記号誤用で想定外の腐食
事例:海岸付近(A相当)で使用される部品にもかかわらず、B(通常の屋外環境)で発注してしまった。実装後、半年ほどで表面に白サビが発生し始めた。
詳細:ここまで極端でなくても、D(通常の屋内環境)を想定していたが、実際は簡素なトタン屋根があるだけで、ほぼ野ざらしに近いBの環境だった、ということもよくあります。
対処法:記号の誤用はヒューマンエラーなので、ダブルチェックなどで対処しやすいものです。しかし、納品先のお客様が想定外の環境で使用される場合は、発注側としても予測が困難です。事前に実際の使用環境をサプライヤーと共有し、適切な対策を講じる必要があります。
水素除去の指示漏れによる耐久性の劣化
事例:めっき後の水素除去ベーキング(:HB)、亜鉛めっきの後に行う水素除去工程を行わなかったことにより、部品の耐久性が落ちており製品破損などの重大トラブルになった。(Ep-Fe/Zn5bのみ記載)
対処法:Ep-Fe/Zn5b/HBに加えて追記などでベーキング処理などを備考欄に記載する。
加工漏れによる外観不良
事例:めっき後の外観に白ツヤがなくクレームになったが、そもそもバフ仕上げ工程が抜けていた。
対処法:バフ仕上げ記号(BF)やめっき後バフ(2BF)などを記載する。ちなみに1BFはめっき前バフ仕上げを表します。
見積り依頼時のポイント
以下の情報を伝えると、サプライヤーは見積もりを出しやすくなります。
- 製品の図面、寸法、材質、数量、年間使用量(ロット数)
- 外観仕上げの要求(装飾用途か、機能用途か、許容される傷の程度など)
- 使用環境(A、B、C、Dのどれに該当するか、より具体的な環境情報)
- 希望納期と目標価格(もしあれば)
付き合いがあるからと一社だけで見積もりを取るのではなく、複数のサプライヤーから見積もりを取り比較検討すること(相見積もり)をおすすめします。その際は、価格だけでなく、担当者の対応や技術力、品質管理体制なども総合的に判断しましょう。
まとめ:電気めっき記号を正しく使いこなし、品質とコストを最適化しよう
ここまでの解説を通じて、電気めっき記号の基本構造から、実際の現場で起こりやすいトラブル例、サプライヤーとの具体的なやり取りのアドバイスまで、一通り解説しました。
最後におさらいとして、以下の点を再度ご確認ください。
- 規格(JISなど)をベースとした共通ルールを理解する
記号を正しく書くことで、誰が見ても同じ仕様を理解できるようになります。 - 記号の構造を理解し、正しい順序で記述することで発注ミスやトラブルを防ぐ
基本は「めっき方法 – 素地 / めっき種類・厚さ・タイプ / 後処理 – 使用環境」の順序を守ることが鍵です。 - トラブル事例や課題を事前に想定し、サプライヤーと密に連携する
これにより、クレーム対応や再発注の負担を大幅に減らすことが可能になります。
電気めっき記号の理解は、単なる「発注仕様の読み書き」を超えて、サプライヤーとの正確な情報共有を可能にし、適切な部品調達に不可欠です。
適切なめっき仕様を選定し指示することは、長期的に見て企業のコスト削減や品質向上に大きく貢献します。ぜひ本記事のポイントを活かし、より精度の高い購買・調達、そして製品開発につなげてください。