弊社の表面処理加工の1つである、硬質クロムめっきについてご紹介致します。
硬質クロムめっきの特徴
装飾クロムめっきと異なり素材上に直接めっきを行い、耐摩耗、潤滑、非粘着、耐熱などのクロムめっきの特性を利用することで、工業用クロムめっき、または硬質クロムめっきと呼ばれています。
①めっき特性
他のめっきに比べて均一電着性(品物に均一めっきを付ける浴能力)に劣るため、角部にはめっきが厚く付き、隅部や中央部には付きにくいです。
厚付けめっきの場合は膜厚のバラつきがより顕著になります。その為、必要に応じて補助陽極や補助陰極(電流の逃がし)を用いることが必要です。
そしてめっき皮膜に微細なマイクロクラックができることも特徴の1つです。
②高い硬度と優れた耐摩耗性
めっき後の被膜はビッカース硬さ950-1100程の硬度があります。
硬質クロムめっきの表面は酸化被膜に覆われ不働態化しており、比較的安定した性質を持ちます。
③処理膜厚
- 寸法精度を重視したフラッシュめっき(0.1μmから3μ程)
- 耐久性を重視した硬質クロムめっき(10μm程)
- 金型部品などより耐久性を求める厚めっき(10μmから100μm以上)
④取り扱い代表例
自動車工業品、化学工業品、工作機械部品、金型部品など
対応製品

≪対応材質≫
- 鉄鋼
- 鋳物
- ステンレス
- 真鍮
- 銅
※アルミは対応しておりません
≪処理能力≫
対応寸法:2100L×700W×1150H
最大荷重:250kg
内径めっき

硬質クロムめっきは内径などの低電流部分にめっきを付けることが難しいですが、専用の治具などを用いることで処理が可能です。
左の写真はマスキング+内外径めっきの製品です。
厚付け硬質クロムめっき
厚付け硬質クロムめっきとは名前の通り、めっき膜厚の厚い硬質クロムめっきです。
数十μmから数百μmの膜厚で硬質クロムめっきを施します。
品物の大きさや形状によってめっきが厚く乗り過ぎ、膜厚差が大きくなることがあります。このバラつきを抑えるためには製品の形状に合わせた補助陽極を使ってめっき処理を行う必要があり、知識や技術力が必要となってきます。
弊社では厚付けめっき品のその後の処理として、研磨で最終仕上げすることを推奨しています。
取扱製品一例
金型部品、機械加工部品、寸法が不足してしまった製品、摩耗により消耗した製品など
その他ご提案
再めっき加工
硬質クロムめっきをした製品が長期使用などにより、摩耗していくことでめっきの厚みが減ってしまうことがあるかと思います。
使用限度まで使い切り、素材を傷めて破棄する前に、めっきを剥がして再度めっき加工することで、素材から再作製するよりも大幅なコスト削減に繋がります。
専用のめっき剥離により素地の荒れを防ぎ、必要であればバフ研磨加工などを施し、より良い状態で再めっき加工をさせていただきます。
他社様のめっき品もご対応可能です。
ご興味がございましたら、気軽にお問い合わせください。