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製造現場の知恵
めっき後のベーキング処理①
2024-02-08
ベーキング処理について
ベーキング処理とはめっき後の製品を熱処理炉などに入れる加熱処理のことです。
弊社ではベーキング処理を主に2つの目的で使い分けています。
1つは脱水素処理の為。
めっき中やめっき前の酸洗い工程などで、製品(鉄鋼)に水素が吸収されることがあります。
水素が吸蔵された製品は"水素脆性"と呼ばれる、本来の強度と比較すると脆い状態になっています。
このまま使用すると破断や破損の恐れがあるので、一度取り込まれた水素を放出する為にベーキング処理が必要になります。
基本的に脱水素処理は亜鉛めっき後に行うことが多く、約200℃の温度で数時間処理を行います。
この温度や時間設定が重要で、正しい条件で処理をしないと本来の目的である脱水素が行われないことがあります。
例えば2-4時間のベーキング処理では、水素脆化率が悪くなることもあり、もし間違えた条件で処理を行うとめっきが剥がれたり、変色してしまうなど様々な不具合が発生してしまいます。
※脱水素処理は全ての亜鉛めっき品に行うのではなく、指定された製品(図面などに記載がある製品)のみ行います。
補足として、酸洗で水素を吸収した鋼は約30分、クロムめっきの鋼は約3時間、無電解ニッケルめっきは150-200℃で1-2時間のベーキング処理を行います。また無電解ニッケルめっきの場合は上記の時間で密着性の向上効果もあります。
ベーキング処理のもう1つの目的は硬化処理です。
硬化処理については後日、また新しい記事でご紹介させていただきます。